活動方針
活動経過(1)5月20日 講演会 「原子力発電所問題について考える -- 原発労働の現場から --」
    (2)9月2日 シンポジウム 「原発問題と差別」
    (3)12月16日 研究会 「映像表現の力とは」
    (4)3月31日 研究発表会「三昧聖の墓をめぐる行基の伝承」
           研究報告会「人権教育の課題」
    (5)2012年度活動のまとめ

活動方針

2012年度 活動方針
1. これまでの活動と課題
 全国大学人権教育交流会のこれまでの活動は、「歩み」にあるように、当初は大学の人権教育の関係者と大学間の交流に焦点を置いてきましたが、その後、変動の時期を迎えて、人権教育の、これまでの実践と研究の積み重ねを受け止めながら、研究・実践の見直しと新たな課題を模索する方向へと活動が移ってきました。
「環境」、「識字」、「貧困」、「震災」、「原子力発電所」などの問題についての諸活動は、社会の変動のなかで提起された課題をいかに受け止め、教育の実践に役立てることができるか、を共有していくものでした。他方、同和教育や「部落」差別についての考え方についての検討も少しずつ行ってきました。そこから、2011年8月27日に、「大学における人権教育の、これまでとこれから -受け継いでいくこと、共有しあうこと-」というテーマでのシンポジウムの開催となりました。
 国際社会においても、「高等教育」での人権教育の推進を求めています。大学の人権教育の重要性はますます高まっています。また、様ざまな人権問題や人権教育に関心のある、個人や団体との関係の構築も重視していかなければなりません。これからは、これまでの活動の実績を踏まえ、必要な課題を積み重ねながら、新たな課題をも取り上げていきます。
2. 申し合わせ事項
(1)総会は、毎年 5月に開催し、研究会、講演会等をともに開く。 
(2)セミナー、研究会、フィールドワーク、研究集会等
    ・年4回: 5月、8月、12月、3月
      5月 総会とセミナー、講演会など
      8月 研究集会、フィールドワーク、など
      12月 
      3月 
    ・研究会の参加費 1500円 学生他1000円
(3)会員は、会員、賛助会員にわけ、会員は会議等に参加し議決権をもつ。
    会員   個人会員 一口  2000円  
    賛助会員 個人会員 一口  1000円
    団体会員         10000円
(4)会員等へ
    ・交流会発行の冊子の割引
    ・その他
3.2012年の活動計画
(1)全国大学同和教育研究協議会、兵庫県在日外国人教育研究協議会を初め、これまで「交流会」に協力した個人や団体との連携と、人権教育に関心をもつ、各団体とのネットワークの構築を行う。団体のリストアップと情報交換を進める。
(2)年間スケジュール(略)
(3)情報発信活動
・ホームページ等による情報の発信

5月20日 講演

5月20日 講演会

【案内文】

テーマ:「原子力発電所問題について考える -- 原発労働の現場から --」
  ○開催日  : 2012年5月20日(日) 14:00~16:00
  ○場 所 : 関西学院大学大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア 1004教室

 私たちの「交流会」では、昨年、原発問題について学習会を行うとともに、有志で福井県の原発立地地帯のフィールドワークを行ってまいりました。その過程で、ただ、脱原発を唱えるだけではなく、実際に原発の周辺に暮らしている人たちや、原発で働いておられる方々のご経験や思いを受け止めることが、いかに重要であるかに気づかされました。
 今回の講演会では、過去に原子力発電所で仕事中に被曝され、現在、福岡で原発労災給付不支給処分取り消しの裁判に原告として取り組んでおられる梅田隆亮さんと、「原発労働裁判・梅田さんを支える会」の共同代表である木村公一さんのお二人にお越しいただき、原発労働と内部被曝の問題、労災申請をめぐる経緯、原発労働裁判のもつ倫理的・社会的な意義等々についてお話しを伺いたいと思います。

木村 公一(きむらこういち)さん
『禁断の木の実』としての核エネルギー
  福岡国際教会牧師、西南学院大学、核・ウラン兵器廃絶キャンペーン福岡共同代表
  「原発労働裁判・梅田さんを支える会」共同代表
梅田 隆亮(うめだりゅうすけ)さん
原発被曝人生:私が労災申請をした理由と提訴への決意
  元原発労働者(敦賀と島根)、「原発労災給付不支給処分取り消し」裁判原告

2012.5.20木村さん・梅田さんの講演会のお知らせの詳細LinkIcon

【講演会の様子】

DSC00855.JPG木村公一さんDSC00859.JPG梅田隆亮さんDSC00865.JPGDSC00861.JPG


【講演会の報告】

 今回は、福岡からお二人の講師の方をお迎えしての開催となりました。耳目を集めている原発問題ということで、フロアーも多数の参加者の熱気につつまれました。木村公一氏は、クリスチャンの立場から、原発という存在が「無限で、便利で、莫大なエネルギー、これを飽くなき追及をもって自分のものとしていく」という欲望にかられた人間の「内なる病癖」を抱え込んでいるとして、そこから脱却する必要性を熱く語られました。また、梅田隆亮氏は、原発で被曝した労働者としての立場から、原発労働がいかに危険かつ非人間的なものであるかを、原発内部の写真も交えながらご自身の体験として切々と訴えられました。最後には、さながら梅田さん・木村さんを囲む会のようなあたたかな雰囲気のなかで、当会としても、これからも梅田さんが原告として立たれている原発労災給付不支給処分取り消し裁判を支援しつつ、その動向に注目していくことを確認し合いました。

9月2日 シンポ

9月2日(日)シンポジウム

【案内文】

メインテーマ:「原発問題と差別」
  ○開 催 日:2012年9月2日(日) 13時00分~17時00分
  ○開催場所:リバティおおさか 研修室2
 全国大学人権教育交流会の「原発問題と差別」シリーズの第3回目の企画です。これまで、原子力発電所問題と被差別部落との関係、そして原発労働者の労働実態と内部被曝との関係について、議論を進めてきました。
現在、原発問題はかつてない関心を集めています。今回は、中川健一さん(龍谷大学講師・元共同通信記者)に「原発問題とマスメディア」、西谷文和さん(イラクの子どもを救う会代表・フリージャーナリスト)に「戦争と原発~その利権と差別構造」というテーマで講演していただき、皆で「原発問題」が持つ様々な世界について、考えたいと思います。
会場につきましては、橋下徹・大阪市長が来年度以降の補助金廃止をうちだしている大阪人権博物館(リバティおおさか)の研修室2で行います。先に人権博物館を見学していただいてから、研修室2にお越しください。

 ○講  演:中川健一さん(龍谷大学講師・元共同通信記者)「原発問題とマスメディア」


     西谷文和さん(イラクの子どもを救う会代表・フリージャーナリスト)「戦争と原発~その利権と差別構造」

 ○参 加 費:1500円  学生他 1000円
      別に入館料として200円(団体割引)いただきます。
 ○後  援:全国大学同和教育研究協議会
2012.9.2中川さん・西谷さんのシンポのお知らせの詳細LinkIcon

【講演会の様子】

大学人権2012.9.jpg中川健一さんDSC01110.JPG西谷文和さん大学人権2012.09.02.jpg懇親会

12月16日 研究会

12月16日(日)研究会

【案内文】

テーマ:「映像表現の力とは」
 ○開催日:2012 年12 月16 日(日)  13:00~17:00
 ○場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア 1003教室(10 階)

 12 月の研究会は、関西在住の2 人の若い映像作家をお招きして、「映像表現の力とは」というテーマで行います。2 人とも、これまでドキュメンタリー映画を作品として発表されています。
 今なぜ「映像表現」なのか。人権教育において、映画やテレビドキュメンタリーを使った授業を行ったことのある方は多くいると思います。映像の力は大きく、受講生の感性と意識を動かします。映像の発信力は大きいですが、そこには事実を隠し、誘導するという巧みな操作も含みます。また映像に流れる感性や思想を読み取る目を養うことも教育をする側に求められます。
 いよいよデジタルビデオの時代になってきました。誰でもが簡単にビデオを撮り、編集できるようになりました。日常的に私たちが映像を撮る事によって映像化することの面白さを知るとともに、授業実践に活用することも可能です。私たちは長い間、活字文化に慣れ親しんできました。しかし、製作する側の目を通して、映像文化のもつ多様な側面を知り、身近なものにしていきたいと考えます。

張領太(ちゃん・よんて)さん
「映像の周辺で考えていること」
1983 年兵庫県生まれ。2008 年
第一作「中村のイヤギ」完成。大阪を中心に、自主上映を続ける。
2012 年奈良県に移り、お茶農園を題材にした新作を制作中。

岡崎まゆみ(おかざきまゆみ)さん
「体験的『凡人がドキュメンタリー映画を作る方法』」
2001 年、ドキュメンタリー映画監督・原一男氏が主催する「CINEMA塾」に塾生として参加。
ひきこもりの男子寮に4 ヶ月住み込み、ドキュメンタリー映画「心をひらいて」を演出、塾長奨励賞を受賞。
報道番組、テレビドキュメンタリー、DVD映像、戦争をテーマにした短編記録映画の編集、演出。
2010 年、ドキュメンタリー映画『ここにおるんじゃけぇ』を編集。(2011 年山形国際ドキュメンタリー映画祭の“ニュー・ドックス・ジャパン部門”で上映)
2011 年6 月から福井県の原発問題の取材、撮影を開始。



2012.12.16張さん・岡崎さん研究会のお知らせの詳細LinkIcon

【講演会の様子】

DSC01416.JPG張領太さんDSC01417.JPG岡崎まゆみさんDSC01418.jpg

3月31日 研究発表・報告会

3月31日(日)研究発表会・研究報告会

【案内文】

テーマ:第一部 研究発表会「三昧聖の墓をめぐる行基の伝承」(10:45~12:00)
    第二部 研究報告会「人権教育の課題」(13:00〜16:30)
 ○開 催 日:2013年3月31日(日)
 ○場  所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア1405教室

<第一部> 会員による研究発表会

田野 登さん
テーマ:「三昧聖の墓をめぐる行基の伝承」
大阪民俗学研究会代表、大阪城南女子短期大学、『大阪春秋』編集委員、日本民俗学会会員

発表概要
 大阪市東住吉区矢田地区には、行基菩薩を伝承する史跡・施設が数カ所見られる。橋、郵便局の名前をはじめ、墓地・神社には行基を顕彰する石碑が存在する。行基菩薩は、奈良時代の高僧であって、彼の遺徳は宏大にして、畿内では寺院はもとより、駅前広場、池の畔、地域の会館、墓地、斎場など、公共性の強い場所に祭祀・顕彰されている。
 今回の発表においては、まず『続日本紀』(延暦16(797)年撰進)養老元(717)年4月、『日本霊異記』(平安初期成立)、『行基年譜』(建保2(1214)年書写)、『元亨釈書』(鎌倉時代撰)等の諸文献に見える行基の人物像を概説する。とりわけ、『行基年譜』は行基研究の基本史料と見なされる文献である。これには、橋・道・池・溝・樋・船息・堀・布施屋の記述はあるが、墓地の記事は見られない。これらの文献をふまえて千日墓所の三昧聖による版行の『行基菩薩草創記』(享保19(1734)年序)の記述をたどった。その記述は、三昧聖と三昧聖の職場である惣墓(中世以降成立した共同墓地)の形成過程とは矛盾する。行基の供養墓を建立したのは三昧聖を自称する墓守集団であって、『行基菩薩草創記』中の行基開創墓地の伝承は「志阿弥法師」(沙弥法師)を創出したことによるものである。『行基菩薩草創記』の語りは惣墓の当事者たる三昧聖が行基と自らを関係づけるために創出したことは明らかである。
 三昧聖は、近世に至り、近畿地方において、活発に活動した。元禄4年(1691)に再建なる大仏殿再建勧進にも関与し、墓守としての権益を守ろうとした。延享4年(1747)の行基千年忌には、供養塔が矢田墓地を含む河内の各墓地に建立された。そのような視点に立って、矢田地区の墓地に現存する墓碑「為行清法師/左 延宝七己未年 施主 聖村」を検証したところ、大仏殿再建勧進に先立つ延宝7年(1679)建立されたこの墓碑は、行基を敬慕した三昧聖の墓であると結論づけた。近世惣墓における葬送儀礼に携わる三昧聖による行基伝承の流布の経緯については、今後、賤民史研究の視座から考える端緒となると考える。

<第二部> 研究報告会

メインテーマ:「人権教育の課題」

大学の人権教育は、今日どのような位置にあるのでしょうか。2002年の同和対策法の期限切れ以降、小中高の人権教育は大きく後退しています。この大波は大学の人権教育に襲っています。この間、阪神大震災、東日本大震災と福島原発事故があり、また今日の児童虐待や体罰問題など、次々と大きな問題が社会の焦点となっています。大学の人権教育が、新しい諸問題に対してどう対応していくかが問われています。今回の研究会は、お二人の大学人権教育の牽引者に発題していただき、その後、全体で問題を煮詰めていきたいと考えています。

森 実さん
「学生たちの関心と思いを生かす人権教育の在り方~大阪教育大学の経験を通して~」
大阪教育大学教職教育研究センター

八木 晃介さん
「雑談・花園大での人権教育の試み」
花園大学

3月31日の研究会の案内の詳細はこちらLinkIcon

究会発表会・研究報告会の様子

DSC01463.JPG田野登さんDSC01458.JPGDSC01476.JPG森実さんDSC01479.JPG八木晃介さんDSC01497.JPGDSC01502.JPG懇親会

【研究報告会の報告】

午後の部
 大学における人権教育の課題を探るべく、大阪教育大学の森実さんと花園大学の八木晃介さんにお話を伺った。お二人は、長年にわたって大学における同和教育・人権教育を牽引されてきた方々であり、我々参加者にとっては、お話しされた内容の一つひとつが、実践に裏打ちされた、たいへん示唆に富むものであった。特に、各大学における人権教育体制の構築の歴史や現状、またお二人が実践されてきた具体的な授業の内容や方法、さらには現在の学生の気質や意識の実態など、いずれも大学で人権教育に携わる者にとって、極めて重要な問題が提起されたため、参加者間の議論が活発に行われ、所定の時刻をオーバーすることとなった。長時間の議論ではあったが、上記のような多様なテーマを議論するには余りにも時間が少なかったように思われるので、今後は、もう少しテーマを絞って、それぞれの課題についてじっくりと議論を進めていくことも必要だと感じた。

2012年度活動まとめ

1.2012年度活動報告

 第28回は、2012年5月20日に、全国大学人権教育交流会が11年目に入って組織として活動するための設立総会と講演会を開催しました。交流会は、これまで未組織の団体として、自由な意思で集まった世話人会が運営をしてきました。しかし、この方法では、各種の関係者とのネットワーク化や資金面での限界が見えてきたので、組織的な活動に取り組むことになりました。総会では、会則の決定、世話人の承認、会計等、が決定・承認されました。
その後、講演会を行いました。三浦耕吉郎さん(関西学院大学)の司会で、「〈禁断の木の実〉としての核エネルギー」を木村公一さん(福岡国際協会牧師、西南学院大学講師、核・ウラン兵器廃絶キャンペーン福岡共同代表、〈原発労働裁判・梅田さんを支える会〉共同代表)、「原発被曝人生:私が労災申請をした理由と提訴への決意」を梅田隆亮さん(元原発労働者〈敦賀と島根〉、〈原発労災給付不支給処分取り消し〉裁判原告)、が報告されました。
 第29回は、同年9月2日に、「原発と差別」というテーマでシンポジウムを開きました。全国大学人権教育交流会、全国大学同和教育研究協議会の共催で、司会は日野謙一さん(関西学院大学講師)です。中川健一さん(龍谷大学講師・元共同通信記者)の「原発問題とマスメディア」、加藤昌彦さん(関西外国語大学)の映像による「資料紹介」、西谷文和さん(イラクの子どもを救う会代表・フリージャーナリスト)の「戦争と原発~その利権と差別構造」というテーマでの問題提起の後、皆で「原発問題」が持つ様々な世界について討論しました。また、加藤昌彦さん(関西外国語大学)の「原発問題に係わる関連資料と映像紹介」がありました。
会場はいつもの関西学院大学梅田キャンパスではなく、大阪人権博物館(リバティおおさか)の研修室2で行いました。それは、橋本徹・大阪市長が来年度以降の補助金廃止をうちだしているため、少しでも支援しようという世話人会の意向によるものです。
 第30回は、同年12月16日に、金洪仙さん(大阪国際大学講師)の司会で、「映像の表現の力とは」というテーマで研究会を開催しました。張領太さんが「映像の周辺で考えていること」、岡崎まゆみさんが「体験的凡人がドキュメンタリー映画を作る方法」というテーマで、若い映像作家のそれぞれの作品の放映と、映像に向かう考え方などについて報告をし、その後「映像と人権」との関係などについて討論しました。会場は、関西学院大学梅田キャンパスに戻りました。
 第31回は、2013年3月31日に、午前中に会員研究発表会、午後に研究報告会を開催しました。第一部の「会員による研究発表会」(10:45-12:00)は、廣岡浄進さん(大阪観光大学)の司会で、田野登さん(大阪民俗学研究会、大阪城南女子短期大学講師)が「三昧聖の墓をめぐる行基の伝承」のテーマで発表しました。
第二部の「研究報告会」(13:00-16:30)は、「人権教育の課題」をメインテーマにして、森実さん(大阪教育大学教職教育研究センター)が「学生たちの関心と思いを生かす人権教育の在り方~大阪教育大学の経験を通して~」、八木晃介さん(花園大学)が「雑談・花園大での人権教育の試み」というテーマで報告をしました。司会は岩槻知也さん(京都女子大学)でした。

2.ホームページの開設について

 ホームページについては、全国大学人権教育交流会が活動し始めた当初に開設したものがありますが、長年に渡って更新されないままそのままになっていました。
 2013年3月25日に、ようやくリニューアルしたホームページを開設することができました。本会の活動の紹介、会員の動向、各団体との交流など、多岐にわたる人権や人権教育の課題を交換し合うためには有効な方法です。多くの方々にアクセスしていただけるようにお願いします。
 さらに、これから会員間やそれを超えた人びととの意見交換を推し進めるために、facebookなどの手段を考慮しているところです。皆様からの意見をお待ちしています。

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