活動方針
  活動経過(1)5月31日 シンポジウム「教育の場とセクシュアル・マイノリティ」
      (2)8月23日 研究集会「子どもの貧困と教育」
      (3)12月6日「沖縄の今日と人権教育の課題
      (4)3月27日 会員研究報告「地域にとって小学校の存続は生命線である
                 ~中山間部・離島における廃校の進行をどう食い止めていくか」
              シンポジウム「大学の人権教育、私の実践」
      (5)2015年度 活動まとめ

活動方針

2015年度 活動方針
1. 総会を開催するに当って

全国大学人権教育交流会は、全国の大学で人権教育について実践している方々の交流の場として2002年に創設いたしました。それから今日まで13年の間、毎年2回、3回、近年では4回の交流や学習の場を持ち、活動を進めてまいりました。そして、2012年5月には初の総会を開催し、規約等を作成しました。同時に、事務局を関西学院大学人権教育研究室に設置させていただきました。また2013年3月にはホームページを、同年8月にはFacebookを開設しました。また昨年度も4回の充実した研究会・シンポジウムを開催することができました。私たちの協働作業の成果であり、関係諸機関・関係者のご協力のおかげです。
今、国内外の人権課題は、ヘイトスピーチや歴史修正主義、沖縄をめぐる問題、戦争に突き進もうとする危険な国の方向性など、数多くの大きな問題があります。これは私達にとっても重要な人権課題です。
今日の教育は、教育を受ける権利を奪われた貧困層の子どもたちの問題、差別と正面から向き合わない教育の問題、子どもの生活と乖離した「学力を上げろ」の圧力の問題など、多くの克服すべき課題を抱えています。その一方で、さまざまな障がい者差別やセクシュアル・マイノリティへの人権侵害など問題は多岐にわたります。こうした課題が今日ようやく取り組まれるようになってきました。本会はこれまでの蓄積を生かしながら、新しい人権教育の創造を目指して活動していきたいと考えます。


2. 2015年度 活動方針

 組織の若返りが喫緊の課題になっています。会の大課題をそこに据えて、それを果たして行きます。私たちの組織は全国の名を冠していますが、会員・世話人構成とも、その名に近づくために、各段の努力する必要があります。私たちの企画の広報は全国大学同和教育研究協議会の案内に大きく依存する体質を持っています。これを脱却していきたいと思います。また、事務局と会場について、現在、関西学院大学に完全依存しています。近い将来、これが許されない事態が生じますので、その対策を至急に考えておかねばなりません。また、本会は機関誌をもっていません。せっかくの企画が記録として残っていないことは痛恨事です。何とか工夫をして実現したいと思います。

1.活動方法
(1)本会はこれまで、人権教育についての従来の取り組みの再構築、隠れた課題や方法の引き上げ、新たな課題や方法の構築、これら3つの視点を底流において活動してきました。2015年度においても、この活動方針を基本において、人権教育の構築を目指していきます。
(2)これまで本会に協力していただいた個人や団体との一層の連携と、人権教育に関心を持つ個々人、各団体との新たなネットワークの拡大を目指します。ホームページの積極的な活用と、研究会等の開催について、協力や共催等の方法も考慮に入れていきます。
(3)情報発信活動
・ホームページ等による情報の発信
 今年はこの課題をより進めるようにしていく。
・会員の相互の意見交換にも取り組みたい。
・会報の発行。世話人会の会議報告その他を連絡する。
(4)活動計画
  <2015年> 
   5月25日(日) 総会と講演会   関西学院大学大阪梅田キャンパス
   8月23日(日) 「子どもの貧困と教育」(仮)  関西学院大学大阪梅田キャンパス
   11月下旬又は12月上旬  「沖縄差別をめぐって」
  <2016年> 
   3月       未定  教育についてのシンポジウム

5月30日 シンポジウム

5月30日 シンポジウムの報告

【案内文】2015.5.30シンポジウムのお知らせの詳細LinkIcon

テーマ:教育の場とセクシュアル・マイノリティ」
概要>日本における社会的差別のなかで、大手をふって差別がまかり通り、ブラウン管を観る視聴者がネタで嘲笑して皆で笑っているのは、セクシュアル・マイノリティの問題しかありません。そのために学校の中でいじめの対象とされ、苦痛を受け、自殺率も極度に高いものがあります。性的少数者の生徒・学生の約半数が学校でいじめに遭い、3人に2人は自殺を考え、14%は自殺経験があると少し前の調査結果が出ました。
そうした日本で、ようやく人権問題としてセクシュアル・マイノリティの差別が俎上に上ったのは、おそらく20年程前のように思われます。この間、世界ではセクシュアル・マイノリティ自身の運動が大きく盛り上がり、レインボー・パレードに100万人が参加する都市もあるほどで、同性愛者の結婚が法的に認められている国もオランダをはじめとする14ヵ国、アメリカでは18州とワシントンDC、パートナーシップが認められている国も4ヵ国になっています。
 日本では2002年の人権教育・啓発に関する基本計画や2012年の自殺総合対策大綱で、「同性愛」「性的マイノリティ」が取り上げられましたが、具体的には進みませんでした。また2004年には性同一性障害特例法が施行されましたが、同性愛者の権利の確立は大きく遅れています。
しかし最近、この流れが変化しつつあります。一昨年には大阪市淀川区がLGBT支援宣言をしたり、本年2月には東京都渋谷区議会で同性カップルが「結婚相当」との条例案を可決し、この3月には文部科学省がセクシュアル・マイノリティへの対応の必要性を明記した文書を作成しています。
しかしながら、日本の教育界は、この問題でほんの端緒を踏み出したばかりで、厳しい差別的な体質を変えていません。日本の大学で、セクシュアル・マイノリティについて、カリキュラムが組まれたのは、精華大学で南定四郎さんが毎年、講義されたのが初めてかもしれません。それから20年程たった現在でも、大学の授業のなかで取り上げていることを聞くことは寡聞です。
このシンポジウムでは、つい最近まで大学生だった当事者の方々にパネラーとしてご出席を願い、自身が受けてきた差別の体験や、そこからどのように越えられてきたか、また教育の場が何をどう保障すべきかについて意見を出していただきます。みなさんの積極的な参加を期待しています。

  ○開催日  : 2015年5月30日(日) 13:00~16:30
  ○場 所 : 関西学院大学大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア 1004教室

1.瀬尾太夫人さん(関西外国語大学2015年卒)
“LGBT スタディツアー in NY”から学んだこと」

2.近藤あさの さん(立命館大学2015年卒)ビデオ出演
「教育は味方-学生の限界と教育の可能性-」

3.仲岡 旬さん(大阪市大2008年卒・関西大学法科大学院2010年卒)
「トランスジェンダーとしての生活、学校、就労、そして弁護士を目指して」

4.北山雅博さん(関西学院大学人権教育研究室)
「関西学院大学の取り組み」

【シンポジウムの様子】

DSC03628.JPG瀬尾太夫人 さんDSC03648.JPG.近藤あさの さんDSC03643.JPG仲岡 旬 さんDSC03649.JPG北山雅博 さん
DSC03656.JPG懇親会

8月23日研究集会

8月23日(日)研究集会の報告

【案内文】20150823研究集会の案内.pdf

テーマ:子どもの貧困と教育

<概要>
日本の子どもの6人に1人は貧困状態(2014年「国民生活基礎調査」厚労省2012年所得が122万円未満にあたる「相対的貧困率」は16.3%)にある、その数325万人。中でも最も深刻なのは「ひとり親世帯」の子どもで、貧困率は54.6%、2人に1人を超えている(OECDの公表ダータで比較すると最悪)。就学援助を受ける子ども156万人で、少子化で子どもの数が減っているにもかかわらず15年で2倍に増えている(小・中学生の15%)。この状況下で、親と共に餓死した子ども、学校の給食が唯一の食事の子ども、公園の草を食べて飢えをしのいだ子どもさえいる(新井直之『チャイルド・プア』)。子どもたちは背負いきれないたくさんの重荷を、声を発することもできずに必死に生活している。今、日本は「先進20ヵ国」の中でも子どもの貧困率はアメリカ・スペイン・イタリアについで4番目に高い国となっている(2012年ユニセフ報告書)。
すべての子どもたちが保護者の如何にかかわらず、その夢を自身の努力以外で阻まれることがない社会にしなければならないが、2010年「高校授業料無償化法」(2014年度「支援金制度」に改悪)や、2014年1月「子どもの貧困対策法」(大綱では、「教育支援」「生活支援」「保護者の就労支援」「経済的支援」の4つだが、実際には、勉強が遅れがちな子どもへの学習支援など「教育支援」が中心で、貧困家庭の解消を目指す対策は、ほとんど盛り込まれず予算が付かなかったのが現状である。)施行下の現実においても、その厳しさは変わらない。今回のシンポジウムは子どもの現場の第一線で向かい合っておられる方々の報告を聞かせていただき、私たちの知るべきこと、なすべき課題を討論し合いたいと思います。

報告1「学童保育の現場から」
前島麻美さん(エリザベス・ストローム記念山王子どもセンター施設長)
講演者紹介
山王子どもセンターは釜ヶ崎・飛田地区と隣接している地域にあり、そこに住む子どもの多くは、抱えきれない大きな負担を背負わされている。センターは単なる学童保育ではなく、子どもたちにとって大きな寄る辺、大きな支えとなってきた。前島さんは31年前よりセンターに関わられ、4年前にはセンターの近くに、障がい者の施設を新しく創設され、山王地区の福祉活動の中心になって活躍されている。センターの子どもを通して見られた現代の貧困を話していただく。

報告2「保健室から見た子どもの貧困とその取り組み」
植西和子さん(長年にわたり大阪市内の小学校養護教諭を歴任)
講演者紹介
大阪市立長橋小学校に23年間勤務された。同校ではケース会議が、学内外の関係者によって開かれ、問題解決にあたった。長年にわたり大阪市内の小学校の養護教諭を歴任された。

報告3「子どもの貧困をめぐる諸問題-SSWの視点から」
郭 理恵(かく りえ)さん(SSWer 大阪人間科学大学 助教(社会福祉士))
講演者紹介
大阪市出身。2003年より、生きるチカラを育む様々なキャンプやワークショップ、人間関係トレーニング等の企画・運営に従事。2004年3月、社会福祉士取得。自らの育ちの過程や、児童養護施設の子ども達との出会いをきっかけに、子どもが育ち・生きる環境を整えること、及び、自己肯定感を育むことの大切さに気づき、地域の子ども誰しもが通える場である「学校」でソーシャルワーク活動を始める。現在は、大学でのスクールソーシャルワーカー養成、自治体でのスクールソーシャルワーク活用事業へのスーパーバイズなどをおこなう傍ら、修復的対話を教育現場で活用するためのワークショップ等をおこなっている。

報告4「私の体験を通して『子どもの貧困』を考える」
村尾政樹さん(NPO法人 子どもの貧困センターあすのば 事務局長 )
講演者紹介
神戸市出身。現在24歳。父子家庭で育ち、奨学金を得て北海道大学に進学。卒業後現在の仕事に専従。

報告5「ブラックバイト・奨学金から見える大学生の生活状況」
柊 まり(ひいらぎ まり)さん(関西学生アルバイトユニオン共同代表、大阪市立大学修士課程)
北村 諒(きたむら まこと)さん(同事務局次長、関西大学政策創造学部4回生)
講演者紹介
関西学生アルバイトユニオン(かんユニ)
関西学生アルバイトユニオンは、学生アルバイトを中心とするユニオン(労働組合)で、「ブラックバイト」や奨学金の返済に苦しむ学生・若者の増加が社会問題となる中で、そうした状況の改善を目指して2015年2月に結成されました。メンバーは現在、京都に5名、大阪に20名弱、兵庫に若干名います。「学生が気軽に相談でき、自分の問題の解決を通じて、なぜそんな問題が起こっているのかを考え、社会をより良いものへ変えていく」ことを目的としています。「自分が我慢すればいい」という「耐える強さ」を、「自分が行動することで変えていくことができる!」という「変える力に」していくことを、「労働相談」や「学習会・企画」などの活動を通じて行っています。

【シンポジウムの様子】

P8235323.jpg前島麻美さんP8235338.jpg植西和子さんP8235357.JPG郭 理恵さんP8235372.JPG村尾政樹さんP8235390.JPG左)柊 まりさん 右)北村 諒さんP8235404.JPG

12月6日シンポジウム

12月6日(日)シンポジウムの報告

【案内文】20151206シンポジウムの案内.pdf

テーマ:沖縄の今日と人権教育の課題

<概要>
沖縄は 1609 年島津藩の琉球王国支配に始まり、1879 年の廃藩置県で武力により日本に組み込 まれました。太平洋戦争の最終局面では、アメリカとの地上戦によって住民の 4 人に 1 人が殺さ れました。敗戦後、米軍によって住民の土地は強制的に「基地」接収、今日も日本の面積の 0.6% に在日米軍基地の 4 分の 3 が集中しています。
そうして、今や前知事による辺野古基地建設の承認を盾に、工事が地元住民の複雑な関係のも と、強制的に進められています。それに対し、新たに知事となった翁長氏は、沖縄住民の立場か ら建設に絶対反対を貫く決意を内外に示しています。
この現実に、私たちは、どれほどの関心を持ち続けているでしょうか。大和の人間のなかには、 沖縄住民の側に身を寄せ、親近感を表明する人も多数います。しかし、大和の人間が簡単に沖縄 の友人であるような顔をすることで、はたして沖縄が今置かれている現状に何か有効に作用する と思うとしたら、それは今回の報告者である野村浩也さんのいう「無意識の植民地主義」を体現 していると言わざるを得ないでしょう。また、もう一人の報告者である栗原佳子さんは、頻繁に 沖縄に通い、沖縄住民の置かれた状況、その心情を受けとめようとされています。また現役学生 の平良さんは、沖縄の心に育てられ、その心を深く受け止めて行動しています。
今回のシンポジウムは、沖縄住民に重大な人権侵害を与え続けている大和に対し、今日何を問 いかけているのか、その根源に少しでも触れ得る機会にし、人権教育の立場から考えていきたいと思います。

報告1「無意識の植民地主義」
野村浩也さん(広島修道大学人文学部教授)
講演者紹介
1964 年沖縄生まれ。広島修道大学人文学部教授(社会学専攻)。高校生時代より、目前にある基地がなぜあるのか、その答えを探す長い旅に出て、日本人の無意識の暴力性を考えるに至たる ...。著書に『ポストコロニアリズム』(共著 作品社 2001年)、『Okinawan Diaspora』(共著 University of Hawaii Press 2002年)、『社会学に正解は無い』(共著 松籟社 2003年)、 『人類館―封印された扉』(共著 アットワークス2005年)、『無意識の植民地主義―日本人の 米軍基地と沖縄人』(お茶の水書房2005年)、『植民者へ』(編著 松籟社 2007年)

報告2「『沖縄戦集団自決訴訟』取材の経験から」
栗原佳子さん(フリージャーナリスト)
講演者紹介
1963 年群馬県生まれ。上毛新聞記者を経て、黒田清主宰の黒田ジャーナルに入り、2005 年、ミニコミ誌「新聞うずみ火」創刊に参画。2005 年より大江岩波沖縄裁判支援連絡会(現・関西 沖縄戦を考える会)世話人。以来、頻繁に沖縄に通っている。現在、フリージャーナリスト。著 作に『震災と人間』(共著 三五館 1996年)、『みんなの命輝くために』(共著 解放出版社 2000 年)、『狙われた「集団自決」―大江・岩波裁判と住民の証言』(社会評論社刊 2009年)

報告3「一人の沖縄の若者が日本を見る」
平良美乃さん(関西外国語大学学生) ・玉城周子さん(関西外国語大学学生)
講演者紹介
(平良美乃さん)1993 年、沖縄県浦添市生まれ。現在、関西外国語大学 4 回生。辺野古新基地建設をはじめとする沖縄の要塞化に危機感を持つ。安保法制反対運動に参加。沖縄での生活、辺野古の新基地建 設や安保法制に反対したその心を話す。


【シンポジウムの様子】

IMG_0400.JPG野村浩也さんIMG_0409.JPG栗原佳子さんIMG_0421.JPG平良美乃さんIMG_0425.JPG玉城周子さんIMG_0427.JPG



3月27日 研究報告・シンポジウム

3月27日 研究報告&シンポジウムの報告

【案内文】2016.3.27 研究報告・シンポジウム の案内文LinkIcon
○開 催 日:2016年3月27日(日)
○場  所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1004教室

第1部: 会員研究報告地域にとって小学校の存続は生命線である ~中山間部・離島における廃校の進行をどう食い止めていくか」

報告者:下橋邦彦さん(大学教員)


第Ⅱ部: シンポジウム大学の人権教育、私の実践

<概要>今回の研究会は、様々な形で取り組まれている大学の人権教育について、実践的な視 点から話し合いたいと思います。
本会は 2001 年の発足以来、人権教育の課題・大学人権教育の課題を追求してきまし た。今回は 4 人のパネラーの方にお願いして、さらに、この課題を追求したいと考えま した。授業のあり方、参加型の授業・教育について、レポートのあり方、試験について、 また、近年の学生の変化について、時代と人権問題の変化について、LGBT など大学生 の人権についてなど、様々な教育課題に対し、カリキュラムやシラバスと重ねながら、 話し合いたいと思います。

1.「部落問題と人権問題について」

   発題者:石元 清英さん (関西大学社会学部教授)

2.「私の授業の諸課題について」

   発題者:岩槻 知也さん (京都女子大学教授)

3.関学の人権教育について

   発題者:北山 雅博さん (関西学院大学人権教育研究室)

4.「外国にルーツをもつ子どもの教育課題について学ぶこと」

   発題者:野崎 志帆さん (甲南女子大学准教授)

【研究報告&シンポジウムの様子】

IMG_1253.jpg下橋邦彦さんIMG_1264.jpg石元清英さんIMG_1268.jpg岩槻知也さん

IMG_1272.jpg北山雅博さんIMG_1291.jpg野崎志帆さんIMG_1301 (1).jpg

2015年度活動まとめ

活動報告

1. 活動内容

 昨年5月31日(日)、関西学院大学・大阪梅田キャンパス1004号教室で11時より1時間、総会を開催しました。前代表の日野謙一さん(関学講師)が開会挨拶をし、議長に出水正一さん(関西大学講師)が選出されました。活動報告を三浦耕吉郎さん(関学教授)、決算報告を鍛冶彰さん(前園田学園女子大学講師)が行い、承認されました。その後、活動方針を加藤昌彦(関西外国語大学特任)、「情報発信」について出水さん、会計監査報告を李月順さん(関大講師)が行いました。討議では、「若返りは難しいが若づくりならできる」「資料を販売するのはどうか」「若い人が少ない。バトンタッチしなければ」「原発問題は若い人が参加しやすい」など意見が出ました。その後、方針・予算案を可決しました。

 第40回の企画は、総会後の午後1時より4時半まで、シンポジウム「教育の場とセクシュアル・マイノリティ」を31名の参加のもと、三浦耕吉郎さんの司会で、開催しました。まず、「“LGBTスタディツアーinNY”から学んだこと」を瀬尾太歩人さん(関西外国語大学2015年卒業生)が、活動の中心を走られた実体験を話されました。家族との葛藤、カミングアウト、大学でのサークル結成、就職、心の負担など多面にわたって、話されました。ついで「教育は味方――学生の限界と教育の可能性―」を近藤あさのさん(立命館大学2015年卒業生)が、卒業後の仕事の都合で参加不能のため、自身の報告を映した映像を作成され、それによる話をして下さいました。大学のなかで声を出せないセクシュアル・マイノリティ、その状況のなかで第1回立命館大学レインボーウイークを少人数で開催した報告でした。ついで「トランスジェンダーとしての生活、学校、就労、そして弁護士を目指して」を仲岡しゅんさん(大阪市立大学2008年卒・関大法科大学院2010年卒)(当時、司法修習生、2016年現在弁護士)が、初の性同一性障害者として初の弁護士になる寸前までの、さまざまな活動を話されました。とりわけ学童保育で子どもにセクシュアル・マイノリティを伝えていくかなど興味深い実践を話された。最後に「関西学院大学の取り組み」を北山雅博さん(関西学院大学人権教育研究室)が話されました。大学として、また自身が熱心な推進者として、おそらく日本初の大学自身の取り組みとしてのレインボーウイークを実施するまでの、これまでの取り組みを話して下さいました。会場からもセクシュアル・マイノリティについての教育実践が話され、終始熱心な討論となりました。司会は「この問題は急発展する領域」と思う、「いろいろなレベルで考えていこう」とまとめられました。
 第41回企画シンポジウム「子どもの貧困と教育の課題」は8月23日(日)1時より5時まで、関西学院大学大阪梅田キャンパス1004教室で鍛冶彰さん(元園田学園女子大学特任講師)の司会で27名の参加のもとに開催しました。報告1は「学童保育の現場から」を前島麻美さん(エリザベス・ストローム記念山王こどもセンター施設長)が大阪市西成区の釜崎に隣接する地域の子どもの現状と、補助金削減の下での厳しい運営を話されました。また、そのなかでも特異な活動として、月に1度の野宿者の夜回り活動の意味について話されました。報告2は「保健室から見た子どもの貧困とその取り組み」を植西和子さん(長年にわたり大阪市内の小学校養護教諭を歴任)が、被差別部落の子どもが通う校区の子どもの状況を話されました。朝ごはんを食べていない子ども、被虐待児童など、子どもたちの抱える問題をケース会議で取り組んでこられた先進的な実践を話されました。報告3は「子どもの貧困をめぐる諸問題――SSWの視点から」を郭理恵さん(SSWer 大阪人間科学大学助教<社会福祉士>)が、学校と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーの草分けとしての奮闘を話されました。2008年文部科学省でSSW活用事業が始まったこと、アメリカでは100年の歴史をもっていること。諸経費の滞納、繰り返す万引、虫歯などの現象、貧困が子どもにもたらす問題、貧困の連鎖や貧困をどう断ち切るかを話されました。報告4「私の体験を通して『子どもの貧困』を考える」を村尾政樹さん(NPO法人子どもの貧困センターあすのば事務局長)が、現状打破の活動を話されました。「あすのば」の4人の理事すべては人生の大きな重荷を背負ってきたこと、うち3人は学生でNPO創設からの悪戦苦闘を話されました。報告5を「ブラックバイト・奨学金から見える大学生の生活状況」を柊まり(関西学生アルバイトユニオン共同代表、大阪市立大学修士課程)と北村諒さん(同事務局次長、関西大学政策創造学部4回生)が、3人に1人がバイトのために授業・テストに支障が出ていることなど、拘束時間、不払い賃金などの現状を話されました。これらの報告者に対して活発な質疑と、それへの応答があり、会場からも実践報告がなされました。
 12月6日(日) 第42回企画 シンポジウム「沖縄の今日と人権教育の課題」を下橋邦彦さん(大和大学教員)の司会もとで24名の参加をえて、1時から5時半まで関西学院大学大阪梅田キャンパス1004教室で、開催されました。報告1「無意識の植民地主義」を野村浩也さん(広島修道大学人文学部教授)が話されました。基地負担を沖縄に押し付け、負担から免れているのは日本人の責任である、何もしないのも“行為”である。基地を引き受けることが必要だ。そしてポジショナリティ(政治的権力的位置)を考えることが大事と話されました。ついで報告2「『沖縄戦集団自決訴訟』取材の経験から」を栗原佳子さん(フリージャーナリスト)が話されました。日本軍の誘導・指示・命令がなければ集団自決は起こっていないこと、自民党の県議会議長が重い口を開いて発言し県議会決議となったことなど、裁判当初からかかわってこられた体験を話されました。報告3「一人の沖縄の若者が日本を見る」を平良美乃さん(関西外国語大学学生)は、沖縄のこと考えなかった21年だったが、大学進学をして、6月の慰霊の日になにもない大阪、沖縄地上戦を知っている人は少ないことに違和感を感じ、留学先からもっとルーツを見つめるようになった。日本の安全のために沖縄に大きな負担を強いる不健康な関係をやめようと訴えた。
 第43回企画は3月27日(日)に関西学院大学大阪梅田キャンパスで11時より12時半まで、出水正一さん(関西大学講師)の司会のもと、会員研究報告として「地域にとって小学校の存続は生命線である――中山間部・離島における廃校の進行をどう食い止めていくか」を下橋邦彦さん(大和大学教員)が話されました。報告者の年来の関心である、地域崩壊をどう食い止めるかについて、東北から奄美まで、超多忙の中を縫って、現地取材をされた貴重な報告でした。現代日本の過疎問題に直面する所に行かれ、生の声を聞こうと現地に出向き、真剣に格闘している若者を取材されました。自治の精神に立たないかぎり地域は消滅する、自治自主のプランのあるところが生き残っている、との確信を得たと話されました。
 ついで1時半より5時半まで、シンポジウム「大学の人権教育、私の実践」を鍛冶彰さん(前園田学園女子大学教員)の司会で、21名の参加をえて、開催しました。まず「部落問題と人権問題について」石元清英さん(関西大学社会学部教授)が、これまでの同和教育が何をしてきたのか、とんでもないイメージを抱く学生がいる。自分がどんな権利を持っているかを知らない学生などの存在など、たくさんの問題点を指摘されました。ついで、「私の授業の諸問題について」岩槻知也さん(京都女子大学教授)が話されました。2人で分担し15回の授業回数で行っていること、出席カードに書かれた質問から大きく学んだこと、現場との結びつきや人権教育の方法論について課題を持っていることを話されました。「関学の人権教育について」を北山雅博さん(関西学院大学人権教育教育研究室)が関学の大学システム全体で人権教育を追求している様を報告された。最後に「外国にルーツをもつ子どもの教育課題について学ぶこと」を野崎志帆さん(甲南女子大学准教授)が話されました。多文化社会論とリンクさせた行動演習で、自身が理事をしている神戸市長田区の多文化子ども共育センターへ出て学生たちが子どもを教えていること、そこで学生が大きな自己変革をしていることを話されました。


2. ホームページ、Facebookについて

2013 年3月25日にホームページをリニューアルしました。主にイベントの案内や活動の報告をしてきました。「あゆみ」で2001年からの活動の概略を、「2012年度~2015年度活動」でその内容も確認できます。
 また、2013年8月24日にFacebookも開設しました。当初は会員対象でしたが、2014年2月8日から「公開」としました。Facebookは容易に更新ができるため、よりタイムリーに情報を提供することができ、活動の雰囲気も伝わりました。
 ホームページ、Facebookともに、会員の方々にアクセスをお願い致します。特に、Facebookは双方向の交流が簡単にできますので、会員間やそれを超えた人々との意見交換の“場”として活用できるようにしていきたいと考えています。

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